長風呂の湯冷め

お湯が冷めるまで浸かっている

夜に出かけること

「一人暮らしを始めて一番嬉しかったことはなに?」と訊かれて、「夜に出かけてもいいということ」と答えた

 

高校卒業までを実家で過ごし、大学入学とともに一人暮らしになった

大学選びの基準も、なんだかんだ言いつつ受験勉強したことも、「一人暮らしのために」が一番のキーワードだった

 

「夜に家を出ること」は自由の象徴のように思う。

小説なんかで高校生の主人公が、夕食後に「ちょっと○○んち行ってくる」みたいなことを言ったりするのにとても憧れていた。

実家では「ちょっと」で行ける距離に友だちなんかいなかったし、そもそも学校から家に帰ってきたあと外出するなんて考えられなかった。

夕食の後は勉強とお風呂しか入る余地がなかった。

 

大学生になり、社会人になり、一人暮らしと同棲をし、夜に出かける自由はずっと確保されている。

かと言ってそんなに夜に出かけるわけではない。

ただ、出かけてもいい。

 

そうやって夜に出かけるわけでもないのに、実家に帰省するときは、「夜は家にいなきゃいけないのか、憂鬱だな」と思う。

昼は、出かける理由がある。友人に会うため、どこそこに行くため。

夕食を食べてきても帰ってきてもいい。

でも夜は、おうちでゆっくり過ごすべきだから、どこにもいけない。

それが実家の息苦しさだ。